PROJECT
STORY 06

サービスデザイナー
河村の視点から見る
プロジェクト

河村 真理子
技術革新統括本部
システム技術本部

Q1 プロジェクトにおけるあなたの役割とは?

私は入社以来、研究職や広報などの部署を経験してきました。転機が訪れたのは2018年のことです。六本木にデザインスタジオ「AQUAIR」が設立されることになり、上長から「デザインに興味があるなら挑戦してみないか」と声をかけていただき、サービスデザイナーとしての歩み始めることにしました。現在はサービスデザイナーとして、お客様とともにサービス企画・開発に携わるほか、お客様向けのセミナーの企画運営やTangityの認知度をアップさせるため、広報活動を展開しています。

これまでサービス開発は提供者目線で進められてきましたが、サービスデザインはサービスを利用する人(ユーザー)を起点に考えていきます。そのため、デザインではユーザーの現在の困りごとを知るための「インタビュー」「観察」の設計・実施やユーザー像(ペルソナ)や行動・感情プロセス(ジャーニーマップ)の作成、ユーザーの将来の体験を設計するための「ワークショップ」の設計・実施、アイデアを可視化した「プロトタイプ」の作成・テストなどを実施します。

Q2 プロジェクトのなかで感じた“BORDER”とは?

学生時代にメディアデザインプログラムを専攻していたこともあり、サービスデザインには以前から関心を抱いていました。とはいえ、デザインの実務計画はなく、1からのスタートです。NTTデータでは、2018年からデザイナー育成研修を開講しており、私も異動してすぐにイタリアで行われた「Basic of Design」に参加しました。

そこで感じたのが、理解と実践の間に横たわる“BORDER”です。当時の私は多少の「知識」はあっても、「経験」がありませんでした。実際に研修のなかでサービスデザインを実践しようとすると、頭では理解していてもなかなか実践に結びつかないのです。たとえばサービスデザインではできるだけ多くのアイデアを出すことが求められるのですが、私はそのなかの有望に見える一部のアイデアをついつい深堀してしまい、十分なスケールが出せないことがありました。また、日本の商習慣や常識に縛られた先入観や思い込みによって、ユーザーへの共感(ユーザー理解)が阻害されるといったこともありました。

幸い、研修には約10ヵ国から研修生が参加しており、多様性に満ちた対話のなかで、自分でも気づけていなかった先入観・思い込みを特定していくことができ、結果、ユーザーへのインタビュー・観察でも、事実(客観)と推測(主観)を切り分けて現状分析できるようになりました。

Q3 “BORDER”を超えたと感じた瞬間は?

サービスデザイナーとしての私はまだまだ駆け出しです。今も、多くの対話を繰り返す中で先入観や思い込みを排除したり、フォーマットを使ってアイデアを量産したり、建設的な批判の中でアイデアをより良いものにしていくことなどを意識して日々精進を続けているところです。

それでも、いくつかのプロジェクトに参加し、手ごたえを感じることが増えてきました。そのひとつがリハビリテーションの現場において、患者さん・医療従事者の双方に求められるプラットフォームの検討にサービスデザインを活用した事例です。脳卒中の患者さんのリハビリは、急性期・回復期・維持期の各医療機関への転院を繰り返し、医師・セラピストなどの医療従事者とともにリハビリテーションに取り組みます。しかしリハビリの効果は実感しづらく、転院を繰り返す中で同じ説明や診察を繰り返すことも少なくありません。いかに効率的にリハビリを行うか、それが医療現場の大きな課題になっていました。

当初、検討段階では、技術起点の発想で「IoTを活用して、機器のデータを統一管理する」とか「A Iを活用して、リハビリテーションの最適化を支援する」などのアイデアが出され、リハビリテーションの効果測定と経過の見える化が重視されていました。

しかし、実際にワークショップや全国の患者さん、医療従事者の方からお話を伺う中で、多くの気づきがありました。たとえば身体機能の回復に加えて、心の回復(障害受容)にも長い時間がかかるなどです。医療従事者もまた、患者さん一人ひとりの障害受容に合わせて、細やかな対応を実施していました。つまり、スピーディで詳細な見える化ではなく、患者さんの心の状態に合わせた段階的な見える化こそプラットフォームに求められていたのです。このような医療現場の泥臭く、生々しい営みを支え、真にユーザーに求められるプラットフォームを具体化するため、リハビリテーションの将来像についてアイデアを膨らまし、それぞれのユーザーを主人公としたストーリーボードをまとめ、プラットフォームの要件定義につなげることに成功しました。

Q4 これからチャレンジしてみたいことは?

まだまだ駆け出しの私としては、これから数多くのお客様とともにサービス企画・開発に取り組み、サービスデザイナーとして経験を重ね、スキルを磨いていくことが目標です。また、今後は後輩の育成や指導にも力を入れていきたいと思っています。

現在Tangityはデザイナーの採用と育成を積極的に進めています。日本ではまだ広く認知されているとはいえないサービスデザイナーですが、世界ではその需要拡大に伴い、優れたデザイナーの獲得と育成が急務となっています。今後、Tangityの活動やコンセプトが広まれば、多くのデザイナー志望の方々が参加してくれると思います。また、デザイナーでなくても、NTTデータ各部門で開発や営業に携わる社員の方々から、デザイン思考を取り入れたいという声も多く上がっています。そうした方々に、私がぶつかった壁や失敗、それらを乗り越えた経験を伝えていくことも、私の役割のひとつだと考えています。

他のプロジェクトメンバーの視点

ADP Service Designer

村岸 史隆

村岸 史隆

技術革新統括本部
システム技術本部

ニューヨーク工科大学大学院で文学修士を取得後、海外のブランドエージェンシーやデザインファームでの経験を経て、2020年1月、Tangityの前身のデザイン部隊にデザインの責任者のADP社員として入社。社内外の様々なプロジェクトにプレーヤーとして関わるところから、デザインディレクションを実施することまで、幅広く役割を超えて挑戦中。

このメンバーのインタビュー

※掲載内容は取材当時のものです

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