Project Story
06
ADP サービスデザイナー

村岸の視点から見る
プロジェクト

村岸 史隆 技術革新統括本部 システム技術本部

Q1プロジェクトにおける
あなたの役割とは?

私は2020年1月にADP(Advanced Professional)として入社しました。入社前は海外のデザインファームなどで、サービスデザインや事業立ち上げに数多く関わってきました。しかし製造、金融、航空、出版といった多種多様なクライアントワークを行う中で、サービスデザインやデザイン思考の力で、公共事業やインフラなど、社会全体にインパクトを与える仕事がしたいと思うようになりました。NTTデータであればそれが可能だと考えたのです。

ADP制度は、AI、IoT、クラウドなど先進技術領域やコンサルティングの領域において高い専門性を有する人材を市場価値に応じた報酬で採用する仕組みで、マネジメント業務を義務付けられた、いわゆる管理職ではありません。私の担当業務は、基本的にはデザインプロジェクトのディレクション、管理がメインではありますが、自分がプレーヤーとしてプロジェクトに携わることも多々あります。明確な役割を決めず、自分が貢献できそうなポイントで積極的に動くことを大事にしています。

これまでさまざまなプロジェクトを進めてきましたが、やはり新ブランドTangityの起ち上げは、デザインに関わる者にとって大きな意味を持つものでした。

Q2プロジェクトのなかで感じた
“BORDER”とは?

Tangityは、NTT DATA Design Networkに所属するデザイナー集団のうち、日本・イタリア・ドイツ・イギリスで展開する統一ブランドです。なかでもイタリアは、NTT DATA Design NetworkのCoE(Center Of Excellence)であり、新ブランドの起ち上げでも中核的な役割を果たしました。ところが、新ブランド設立プロジェクトの最中に起きたのが、新型コロナウイルス感染症です。イタリアでは爆発的な感染拡大が起こり、大混乱に陥りました。それまではデザイナーがイタリアに集まり議論を交わすこともできましたが、海外渡航が禁止されてはそれも叶いません。急遽、すべてをオンラインで進めることになりました。

デザイナーにとってブランド名は、そのなかに自分たちの思い、意志やパッションが込められた象徴です。ブランド起ち上げには、かなりの数のデザイナーが参加したのですが、それぞれに思いも強く、こだわりがあります。自分の思いをブランドに反映させたいと誰もが思い、発言するのですが、オンラインではどれくらい思いが伝わっているのかが実感できないんですね。ブランドコンサルティング企業にも協力してもらいながらブランドコンセプトを固め、ブランド名を決めていったのですが、オンラインでデザイナーの思いを可視化していく作業は思った以上に難航しました。

Q3“BORDER”を超えたと
感じた瞬間は?

オンラインでの活動を余儀なくされた新ブランド起ち上げですが、結果的にはそうした手間をかけた分、議論が深められたという側面もあります。真にひとつになるためにどういうカルチャーをつくるのか、ブランド名を通して何を伝えていくのか。そうした思いをオンラインで熱く議論したことで、Tangityに対する思いや意識が共有できたと感じています。

現在の課題は、NTTデータのなかで起ち上げられたTangityというブランドをどうやって認知してもらうのか、です。Tangityは、広くデザイナーの募集と育成に力を注いでいますが、問題は「デザインはサービス開発の上流過程」という一般認識です。コンサルティング会社がデザイナーを募集するのはわかる。でもNTTデータはIT企業としての実績と知名度が高すぎて、それが逆に枷となっています。

私自身もそうでした。入社までは、組織が大きすぎて自由度がないのではないか、意思決定が遅いのではないかという一抹の不安を抱いていました。しかし実際に働いてみると柔軟性が高く、様々な分野・企業から集まってきたプロフェッショナルがすぐに活躍できる組織とカルチャー、そして社内の理解があると実感しました。加えて、NTTデータは内資系企業ですが、Tangityのカルチャーはイタリアの拠点に準じたグローバル標準です。これからはTangity以外の世界12拠点にあるデザインスタジオとも連携していきたいので、よりグローバルな環境になっていくはずです。

そうしたことを正確に伝えるため、現在はnoteやInstagram、ブログなど手触り感のある手法でデザイナーを志望するコミュニティへこまやかな発信を続けています。

Q4これからチャレンジしてみたいことは?

まだまだチームとしては未完成な部分もあるのですが、それぞれが強みを持つ多様性のあるチームにしたいと考えています。たとえば戦略立案やインサイトリサーチに強い人、ソリューションデザインが得意な人、あるいはコンセプトメイキングに秀でた人……。そうしたそれぞれに強みを組み合わせ、多様なニーズに応えられるチームを目指していきたいと思います。

NTTデータはサービスデザイン領域を、ブロックチェーンやAI、IoTなどと並ぶ重要戦略のひとつに位置付けています。そして、公共事業やインフラ整備など社会に大きな影響力を与える開発において高い実績を誇っています。そうした可能性に満ちた環境がTangityのデザイナーには広がっている。その意味でも、今後のTangityの活動を、私自身も楽しみにしています。

他のプロジェクトメンバーの視点

※掲載内容は取材当時のものです