Project Story
01
営業担当

長谷部の視点から見る
プロジェクト

長谷部 旭陽 ソーシャルイノベーション事業部
デジタルソリューション統括部

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Project Story 01デジタルアーカイブ

Q1プロジェクトにおける
あなたの役割とは?

2017年9月に、それまで駐在していたスイスから帰国し、AMLADの営業担当につきました。バチカン図書館プロジェクトに関しては、開発担当者としてプロジェクトをけん引してきた高橋を初めとするこれまでの営業・開発担当メンバーが培ってきた、バチカン図書館関係者から当社への信頼が絶大で、営業担当者としての立ち上がりも非常にスムーズに進みました。2018年に契約を更新し、現在は今後のプロジェクト展開について検討を進めています。

ASEAN統合デジタルアーカイブプロジェクトは2018年に、ASEAN事務局、及び日本政府との連携の元でスタートしました。私が営業担当を引き継いだ2018年はまず3カ国の文化遺産をデジタルアーカイブするプロジェクトフェーズ1が立ち上がった時期です。営業としての私の役割は、ASEAN事務局や在ASEAN日本政府代表部、インドネシア、タイ、マレーシア各国代表者や日本政府関係者との関係を構築し、多岐にわたる関係者との調整、合意形成をはかることでした。またプロジェクト関係者とNTT DATAの開発チームの間に入り、プロジェクトの進行を管理することも重要な役割です。2020年2月のサービス公開に向けたプロモーションプランの策定と実施にも中心となって携わりました。

Q2プロジェクトのなかで感じた
“BORDER”とは?

プロジェクトに参加する前から、自分の役割は多彩なステークスホルダーの間に入り、全員が納得できる形でプロジェクトを推進する調整にあると考えていました。

プロジェクトに参加する前の5年間、私は国際機関でのシステム構築のためスイスのジュネーブで勤務していました。そこでは世界各国からメンバーが集まり、各国の関係官庁間でのデータ交換を行うシステム開発を進めていました。その経験を通じて、ボーダレスな開発の難しさや苦労は十分に理解していたつもりです。意見の相違やトラブルがあっても同僚や各国のステークホルダーとの討議を重ね、真摯に話し合うことでいくつもの問題を乗り越えてきました。

しかし、ASEANプロジェクトは同じようにはいきませんでした。スイスでは国籍や住む場所は違えども、プロジェクトの関係者は同じ業務に携わる各国関係官庁の面々であり、プロジェクトの目的を共有し、同じ目標に向けてシステム開発に取り組むことができていました。しかしASEANプロジェクトではASEAN 10カ国に加え、ASEAN事務局、日本政府、NTT DATAと立場も役割も多岐に渡るステークホルダーがいます。何より「ASEAN地域全体を統合するデジタルアーカイブ」というまだ誰も見たことが無いものを作り上げるプロジェクトであり、世界各地に散在する関係者を同じベクトルに向けることは至難に思えました。

Q3“BORDER”を超えたと
感じた瞬間は?

プロジェクトを取りまとめる者として、私が海外にいるステークホルダーと意思疎通を図るために心がけたのはFace to Faceのコミュニケーションです。自分自身が動くことで距離を縮める。海外に出向くのは難しくても定期的にTV会議を開き、しっかり相手の顔を見ながら会話する。メールで済ませられる用件であっても、国際電話で相手の声色を確かめながら確認していく。もちろん直接対面可能な海外出張や国際会議の席では、機を逃すことなくこちらから近寄り、時間が許す限り相手とのコミュニケーションに時間をかける。人は話した回数だけ、会った回数だけ距離が縮まると信じ、このような形でそれぞれのステークホルダーとの信頼関係を築くことに力を注ぎました。一人ひとりは点の存在であっても、私がそれぞれと信頼関係を結べばすべてのステークホルダーがつながります。そこでプロジェクトの関係者全体に「仕事の依頼人と受注者」のような机をはさんで向かい合う関係ではなく、「同じ目標を実現する仲間」として一緒にやっていこうという意志を示し続けました。

結果として、プロジェクト開始当初にはお互いに顔も名前も分からなかった各国のメンバーと、プロジェクト終盤にはニックネームで呼び合いながら、お互いを信頼しあい、仕事の話も雑談も気軽にできる関係ができました。
本プロジェクトのシステム開発において、スケジュールや予算の都合上、どうしても各国の意見を取りこめない部分について議論が紛糾した際、「Asahiが言うなら受け入れよう」と譲歩して頂く場面もありました。
インドネシアの文化庁からは、プロジェクトの中でのコミュニケーションやプレゼンテーションを評価していただき、2019年10月に、World Culture Forumと共同開催する「International Forum for the Advancement of Culture」というイベントで「是非AsahiにAMLADのプレゼンをして欲しい」とご招待していただきました。
また、「以前タイに来た時、Asahiはカレーを喜んでくれていたから」と、次の会合の際にわざわざお土産にタイカレーのソースを買ってきてれた仲間もいました。
「日本から来た企業の人」としてではなく、「Asahi HASEBE」という一個人として各国の仲間と人間関係を築きやりとりをしてきた結果生まれた様々な出来事が、私が”BORDER”を超えたと感じる瞬間です。

Q4これからチャレンジしてみたいことは?

ASEANプロジェクトは、まずフェーズ1として、インドネシア・タイ・マレーシアの三カ国の文化財計160点の電子化を実現しました。バチカン図書館と異なり、文化財は書物だけでなく美術品などが多く含まれるため、AMLADに3Dデータのアーカイブにも対応する機能を加えています。これにより、ユーザの方は仏像などの立体造形物をあらゆる角度から観賞し、自在にズームイン・ズームアウトすることが可能になりました。また画面上に同じ年代の異なる地域の彫刻を並べて比較するといった利用も可能となります。これらのデータはASEAN Cultural Heritage Digital Archive(ACHDA)としてインターネット上に公開されていますので、現地の博物館でしか見られなかった文化遺産に世界中の誰もがアクセスできます。デジタルアーカイブの特色は、文化財を護るだけでなく、それを世界の人々に広く公開し、共有することにあります。

今後はASEANのほかの7カ国の文化財の電子化を進めることはもちろん、世界の文化遺産を人類の共通遺産として活用できるよう、AMLADで世界をつないでいきたいと思っています。

Q5学生のみなさんへの
メッセージ。

いかなるビジネスも、つきつめていけば最後は人と人の営みです。相手を理解し、自分を理解してもらう。そんな個と個の関係をいかに築くかが何より重要です。国をまたいでの仕事は、日本国内と同じようにはいきません。私がスイスで各国の人々と協力しながらシステム開発に従事したときも、最初はそんな関係構築の難しさに悩まされました。何か依頼をしても、動いてもらえない。動いてくれても、思った結果が返ってこない。そんなことが何度もありました。しかし、個室のオフィスを飛び出し、直接顔を合わせて話し、人と人として信頼関係を作るとそんな状況がガラリと変わりました。面と向かってコミュニケーションをはかることで連帯感が生まれ、お互いが困っているときには助け合えるようになる。ビジネス慣習はそれぞれ異なっていても、人間関係が最重要であることは変わりません。みなさんが社会に出たら、ぜひ人と人との関係を大切にしてください。それが私が最もみなさんにお伝えしたいアドバイスです。

他のプロジェクトメンバーの視点

※掲載内容は取材当時のものです