Project Story
04
AWS基盤開発・運用担当

栗原の視点から見る
プロジェクト

栗原 崇 第三金融事業本部 戦略ビジネス本部 システム企画担当

Q1プロジェクトにおける
あなたの役割とは?

システム全体のアーキテクト構想と、AWSを中心としたシステム基盤の開発リーダーを担っています。「資金ニーズ予測AI」をはじめとするAIサービスを安価かつ安全に活用いただくこと、そして、このサービスを通して多くの地域金融機関の課題解決に貢献することが私のミッションです。

「資金ニーズ予測AI」は、信用金庫が保有するデータを蓄積している昔ながらのシステムと、最先端の技術であるAIを掛け合わせた「レガシー×最先端」というのが大きなポイントとなりました。AIを活用したPoC、PoBで検証した後、サービス化に向けてまず課題となったのは、この「レガシー×最先端」の掛け合わせをどのようなプラットフォームで提供すべきか、ということでした。

当初は、NTTデータが提供しているクラウドサービスが候補として上がりましたが、AIの学習・推論で必要となるマシンスペックや利用機会の要件、それに伴うコストの負荷を考えると採算が合わないため、パブリッククラウドであるAWSを視野に入れて検討しました。最終的には、サービス提供へのアジリティや将来的なスケーラビリティなどを総合的に判断し、セキュリティ対策を重点的に施すことを前提に、AWSを採用しました。

私自身、実務でAWSを扱うのは初めてでしたが、プロジェクトメンバーの協力や社内での支援もあり、不安よりも期待感が大きかったのを覚えています。

Q2プロジェクトのなかで感じた
“BORDER”とは?

金融機関が扱う業務データには、個人情報や与信、資金の流れなどが含まれており、絶対に安全が保たれていなければなりません。その点こそが、今も「レガシー」なシステムや環境を利用している一因となっています。

そのような状況に対し、AWSを利用した場合のリスクシナリオを想定し、その対処を設計するために、社内の有識者のノウハウや先行事例を可能な限り収集・整理し、試行錯誤しながら一つひとつ検討を進めてきました。しかし、パブリッククラウドの導入実績の少ない地域金融機関に我々のセキュリティ対策が認められるかどうか、これが一つのBORDERでした。

また、「資金ニーズ予測AI」は企画段階から信用金庫に限らず、他の金融機関にも展開することを目指しているため、金融情報システムセンター(FISC)の安全対策基準に象徴される、最高レベルへの準拠を要件としていくことが、私にとっては大きなBORDERであったと言えると思います。

Q3“BORDER”を超えたと
感じた瞬間は?

AWS担当者、そしてAWSでの開発における権威である「APN Ambassadors」の称号を持つ当社の社員2人のナレッジや協力が、本プロジェクトを前進させる大きな力となりました。また、類似のプロジェクトから開発の要諦や注意すべきポイントなどを共有いただけたことも、リスクへの対策を立案する上で、大いに役立ちました。

お客様への提案にあたっては、お客様先に半常駐し、毎日何時間も打合せを重ね、不安や疑問を解消していくことに取り組みました。とりわけお客様には、長年にわたり当社のサービスをご導入いただいており「NTTデータが創るもの」には信頼と期待があります。そのようなお客様が求める基準をクリアすることは、まさに必須条件でした。

苦労が実り、お客様が求めるセキュリティ品質をクリアし、お客様の個人情報を利用した検証許可を頂いた時は思わず胸を撫で下ろしました。

Q4これからチャレンジしてみたいことは?

「はじめて尽くし」となるサービスの実稼動が、ようやく見えてきました。地域金融機関にこのサービスを安価かつ安全に手早く活用いただくため、引き続き気を引き締めて開発にあたりたいと考えています。

また、信用金庫・信用組合のような組織共同金融機関内での横展開はもちろん、金融業界全体においても、融資を中心とした業務の効率化・高度化というニーズに応えるサービスを展開していきたいです。AWSを用いた「資金ニーズ予測AI」サービスの利点を広くアピールし、さらに新規サービスの継続的な追加とサービスの質に磨きをかけていきたいと考えています。

昨今では、非金融プレイヤーによる金融サービスへの参入や、少子高齢化・働き手不足・地方経済の縮小など、地域金融機関を取り巻く経営環境は大きく変わりつつあります。さらに、新型コロナウィルス感染拡大により、その変化は加速度的に進んでいます。地域金融機関と、その先にいる法人・個人のお客様が抱える課題は何か、そして、ITサービスによってどのような価値創造を実現できるか、試行錯誤をしていく必要があります。

また、社内に目を向けると、我々のような新たな取り組みがもっと同時多発的に広がっていき、様々な分野・商材で実りあるビジネスを生んでいくことが、日本トップのIT企業として求められていることだと考えております。今回のプロジェクトを通した社内横断の協力・連携を活かして、DX領域の拡大とそれを担う人財の育成にチャレンジしていきます。

他のプロジェクトメンバーの視点

※掲載内容は取材当時のものです