Project Story
04
業務ノウハウ・データ設計担当

仲谷の視点から見る
プロジェクト

仲谷 公志 第三金融事業本部 しんきん事業部 信用金庫統括部 信用金庫担当

Q1プロジェクトにおける
あなたの役割とは?

長年、信用金庫をお客様として、共同の業務システムをはじめとした様々なシステムの提案や開発、運用・保守などに携わってきました。

今回は、そうした経験で培ってきたノウハウに加え、先輩たちが積み上げてきた知見が評価され、「資金ニーズ予測AI」開発プロジェクトにアサインされました。私自身も、自分の培ってきた経験を十分に活かせるプロジェクトだと思っています。

信用金庫が蓄積している膨大な業務データの中から、AIおよびMLに学習させていくべきはどのようなデータなのかを検討し設計すること、知り得ている信用金庫の業務知識を活かし、プロジェクトの節々で提言していくことなどが私の役割です。

そのなかで、信用金庫の現場職員に「なるほど、こういう観点もあるのか」と思っていただけるような、これまで気づいていなかったデータにも目を向け、AIに取り込むことを意識して設計しました。

Q2プロジェクトのなかで感じた
“BORDER”とは?

先に述べた私の役割そのものが、超えるべきBORDERとなりました。

本プロジェクトはAIを金融機関の業務に応用するという新しい取り組みへの挑戦でしたので、その要件定義にはPoCという新しい概念や理論、アイディアなどの実証を目的とした検証やデモンストレーションを行いました。

信用金庫には膨大な業務データがあり、そのデータにはそれぞれ特徴があります。信用金庫ならではのものを作ろうと思うと、たとえば「出資」のようなデータにばかり目が向いてしまいます。しかし、それでは当たり前の数値や指摘しか予測データとして算出されないという危惧がありました。

本プロジェクトでは様々な「はじめての挑戦」がありましたが、私は信用金庫に対する経験と知識という財産を活用することを期待されながらも、知見があるからこそ今までにない観点からのアイディア創出への期待も受けるという、なかなか高いハードルが立ちはだかっていました。

Q3“BORDER”を超えたと
感じた瞬間は?

信用金庫とその業務に関する知見がありながらも、それがゆえに恣意的なデータ抽出・設計にならないよう、フラットに考えることを心がけていました。信用金庫関係者があまり気づいていないデータで、今回の案件に役立ちそうなものはないかと考えることや、時にはプロジェクトに参加しているメンバーや信用金庫の職員の方々とコミュニケーションを取り、それぞれの考えや視点を参考にするなど、とにかく広い視野でデータ抽出を考え、PoCを繰り返して仮説立案と検証を継続していきました。

その結果、培ってきた知見がふんだんに盛り込まれたデータの選定ができたと感じています。

実際、PoCに次いで行われたPoBや、信用金庫の現場職員様の協力を仰いでデータを搭載・学習したAIを使った渉外では、ある属性の見込み顧客からの新規融資獲得が数倍に増えるなど、成果が形になってあらわれた際にBORDERを超えたことを感じました。

Q4これからチャレンジしてみたいことは?

現在は、様々な信用金庫様との交渉・理解獲得を経て、要件定義となるPoCを実施している段階です。AIによる融資見込み顧客の抽出や、AIが算出する「(融資実施成功の)見込みスコア」の予測数値の妥当性も、一定の効果を出せてきています。

「資金ニーズ予測AI」は開発段階から業界での横展開を想定して、高い基準(FISC準拠など)で開発が行われています。その点を活かし、共同のシステムを利用している信用金庫全ブランドにサービスが提供できるよう努めていきたいですし、他業態への展開にもチャレンジしていきたいです。

AIが世間で話題になった数年前は、「AIが仕事を奪う」というような論調で賛否両論の評価を受けたことがありますが、私はAIこそ信金が得意とするFace to Faceでの業務の質を高めていくものだと信じて、開発に取り組んでいます。

他のプロジェクトメンバーの視点

※掲載内容は取材当時のものです