Project Story
04
企画・営業・開発担当

山野の視点から見る
プロジェクト

山野 清晴 第三金融事業本部 戦略ビジネス本部 システム企画担当

Q1プロジェクトにおける
あなたの役割とは?

本プロジェクトにおける主幹的な立場として、お客様とAIサービスのPoC、PoBの実施、サービス化要件整理、各技術要素を活用し実現するための各種プロジェクトマネージメントを実施しました。

今ではAIの開発もそれほど珍しいものではありませんが、本プロジェクトは多岐にわたる挑戦要素が多く盛り込まれていました。新規サービスを提供するためには、顧客ニーズ要件とデジタル技術の融合をしていくことが必要です。金融渉外、融資業務を課題解決するために、NTTデータの強みとして長年蓄積されたデータとその業務ノウハウを保持したメンバーや、様々な技術ノウハウを保持したメンバーと共にAIサービス提供に最適なグランドデザイン、AIモデルの構築、AI分析基盤開発等を一緒に検討し実施していきました。もちろん、参加メンバーにとっても、それぞれの業務がはじめての取り組みとなるわけで、彼らが自信を持って仕事に取り組める環境づくりも、私に課せられたミッションでした。

Q2プロジェクトのなかで感じた
“BORDER”とは?

顧客の業務価値と価値に応じたAIサービス化の構築がBORDERでした。AIサービス化にあたっては、AIモデルの精度に応じてどの業務領域、業務フローの中でどのように活用するのか、顧客の期待値を満たせるか、といった課題がありました。サービス化にあたり顧客のROI(Return of Investment:投資利益率、今回のソリューションでどのくらいの利益を上げて成功とすべきか)の算出、PoCからPoBの計画策定実行、サービス化のための価値定義など仮説を構築し多数の部署のお客様と検討を重ねました。

また、技術的には、AI の特性として再現性が担保されず精度保証ができないため適切な投資対効果の測定ができず、継続的にAIモデルを再学習させる必要があります。そのため、高コストなデータサイエンティストによる再学習を続けていかなければならないという課題がありました。主要な機能のみに絞りAIモデル構築の生産性をあげ、検証サイクルを早めることに加えて、コスト削減のために自動化の仕組みを構築し、「安く」「早く」「高精度なAI モデル」の実現に向けてチームメンバーと検討を重ねました。また、AWS活用にあたり、セキュリティ安全性の担保やコストへの影響なども重要な課題と捉えて対応していきました。

サービス化の価値定義と実現可能にするための体制構築など、各種プロジェクトが円滑に進むようにマネージメントも行いました。

Q3“BORDER”を超えたと
感じた瞬間は?

プロジェクトの実稼動に関し、新規サービス化の目途が見えてきたことです。

新規サービス化のために、前向きな方向にプロジェクトが進んだことは、お客様とプロジェクトメンバーが同じ目的達成のために同じ方向を向き、設計内容やテーラリングなどの最適解を求め、軌道修正しながら進められた結果です。こだわるべき重要な部分とそうでない部分の切り分け、役割分担など、異なるスキルセットをもったメンバー同士が足りない知見を補いながら実施できたと思います。

とはいえ、実稼動に向けてはまだ気が抜けません。実際に信用金庫の職員がサービスを安全に利用し、運用が定着し、信用金庫様が業務的な成果を出せる仕組みを作ることが重要です。

既存サービスの拡充・改善を図り、結果として、お客様、さらにその先の企業様へ貢献ができた時こそ、本当のBORDERを超えた瞬間であると言えます。

Q4これからチャレンジしてみたいことは?

「資金ニーズ予測AI」は、Amazon Sage Maker(AWSが提供している、AI/MLモデル開発サービス)をカスタマイズすることで、どの金融機関でも自社に合ったAIサービスを自動で生成することができます。多種多様なサービスを他の金融機関にも横展開できる仕様を前提に設計構築していますので、多くの金融機関に対し、サービスの効率化とノウハウの蓄積、貸出収益の最大化が提供できればと考えています。今回のサービスは、渉外業務、融資業務支援の第一歩にすぎません。営業活動であれば、訪問計画の策定や折衝記録の作成、融資に関わる稟議作成支援や顧客の業況検知モニタリングなど、一連の営業活動や融資業務の効率化・高度化につながるメニューモデルを提供する予定です。

また、金融業界が掲げる社会的課題として「地方創生」というキーワードが挙げられます。適切な資金需要の課題解決のみにとどまらず、地方の中小企業/零細企業の為にNTTデータ社内のリソースだけでなく他業態、他社が持つ技術、データ、ノウハウなどと協業し、社会的課題解決に挑んでいきたいですね。

他のプロジェクトメンバーの視点

※掲載内容は取材当時のものです