Project Story
05
アプリケーション開発担当

小山田の視点から見る
プロジェクト

小山田 幸平 技術開発本部ヘルスケアAIセンタ

Q1プロジェクトにおける
あなたの役割とは?

大学時代はバイオインフォマティクスを専門とし、AI技術を生命科学に活用する研究を行っていました。たとえばタンパク質は、21種類のアミノ酸が鎖状に多数連結した高分子化合物です。ではアミノ酸をどう組み合わせればどんな機能を持つのか。それをAIで効率的に探索するといった研究を進めていました。研究はとても興味深く、夢中になりましたが、学会発表が学術研究の事実上のゴールであることが少し残念でした。研究に携わるだけでなく、その成果をビジネスに活かしたい。そんな「研究も、ビジネスも」を実現できる企業として、NTTデータを志望しました。

その意味でヘルスケアAIセンタは私にとって理想的な部署です。プロジェクトには新入社員研修を終えた、入社1年目の6月に参画しました。それまで荒木が進めてきた臨床経過評価アプリケーションなどのツール開発を引き継ぎ、また、大学側との一次折衝窓口を担当することになりました。共同研究の窓口となることでプロジェクト全体を俯瞰できるようになり、現在はプロジェクトマネジメントも担当しています。

開発業務だけでなく、大学側との折衝も経験できており、入社1年目でこれほど多くの経験をさせてもらっていることには大変感謝しています。また、本プロジェクトの対外発信としてニュースリリースの作成や新聞取材等も対応しています。プロジェクトのスケジュールとしては2020年10月に臨床経過評価アプリケーションの開発を完了し、2021年の実証検査に向けて、現在準備を進めているところです。

Q2プロジェクトのなかで感じた
“BORDER”とは?

臨床経過評価アプリケーションは、患者動画での実証試験を行うことを目的に開発しています。開発を進めるうえで、アプリケーション開発のゴールをどのように設定するかに苦労しました。そもそも今回の取り組みが、このチームで初めての試みであるため、最初に機能・仕様を固めてから開発するウォーターフォール型開発では要件定義に苦労します。そのため機能要件を先に確定するのではなく、開発とレビューを繰り返しながら、機能追加を行っていくアジャイル型で開発を進めました。

しかしアプリケーションの開発が進みイメージが出来上がってくると、こんな機能があると更に便利だ、というような、より実用シーンに沿った機能追加に関する意見も出てきました。全体のスケジュールが定められている中、機能追加に関する様々な意見を取り入れて臨床経過評価アプリケーションの開発を完了させることが大きなチャレンジでした。

Q3“BORDER”を超えたと
感じた瞬間は?

まずは杏林大学の先生方からの要望をすべてリストアップし、患者データを用いた実証試験に必要なものなど、優先順位を話し合って追加機能を決めていきました。当初の計画では、9月いっぱいをめどに臨床経過評価アプリケーションの開発を完了する予定でしたが、10月後半に延長してしまいました。これはプロジェクトマネジメント上の大きな反省点です。

このように自身の実力不足を感じることは他にもありました。例えば先生との打ち合わせの際に、想定外の質問やご要望をいただくと、自分自身で判断することができずその場で決断を下せないこともありました。プロジェクトチームはとても良い雰囲気で、先輩からの手厚いサポートも受けていますが、やはり経験が浅いために苦戦する場面は多々あります。

しかし、本プロジェクトを通じて入社1年目から様々な経験をさせていただき、成長を実感しています。また、学生時代の研究とビジネスの違いを実感できたことも良かったと思います。AIは学習データをどう用意するかが研究の肝となります。今回は杏林大学から患者動画を提供いただくわけですが、そのためには折衝を重ね、各種手続きを踏む必要があります。そうした、ビジネスにおけるAI研究の実際を肌で実感できたのは大きな収穫でした。

Q4これからチャレンジしてみたいことは?

今回のプロジェクトはまだ研究段階であり、AIによる顔面神経麻痺の評価システムがビジネス化できるかどうかはまだ不透明です。しかし、医療分野は規模が大きく、将来有望なマーケットですし、この技術は必ず患者さんや医療従事者の役に立つと確信しているので、ビジネス化を成し遂げたいと考えています。そのために、まずは今回のアプリケーションのキーテクノロジーである特徴点抽出AIの技術力を磨きたいと考えています。この技術については荒木が豊富な知見をもっているので、現在はプログラムに関するアドバイスをいただくなど、サポートしてもらっています。いつも質問攻めにしているので、他のメンバーには“師弟関係”だとからかわれています。

また中長期的には、入社当時から思い描いている「研究も、ビジネスも」を実現することが目標です。そのためには、技術力だけでなく、関係者との折衝能力を持ち合わせた人財になる。研究でも、ビジネス場面でも活躍するにはその両方が必要なことを今回のプロジェクトで実感しました。

今回はプロジェクト規模が比較的小さいことや、商用ではなく研究に主体をおいたプロジェクトということもあって、新人の私がプロジェクト全体を俯瞰できる立場を任せていただきました。このプロジェクトを通じて学んだことを、今後に生かしていくことが重要だと考えています。

他のプロジェクトメンバーの視点

※掲載内容は取材当時のものです